インドの手仕事1:暮らしを描く「スージニ刺繍」|ビハール州

刺繍を求めて、デリーからパトナへ

情報が得られなかったデリーを離れ、ビハール州のパトナ空港(Patna International Airport)に降り立ちました。
空港内の
ビハール州政府観光局(Bihar State Tourism)で、この州のプロに刺繍について尋ねてみました!
あれ?誰も知りません。写真を見せても、ピンときていないよう…。
男性職員だったからなのかな??

尋ね方を変えて、ビハール州北部の情報が欲しいとお願いしてみました。
すると、主に南部にある有名な観光地のリーフレットを続々と出してきました。

インド号が「違います。北部のムジャファルプル県(Muzaffarpur)や、マドゥバニ県(Madhubani)の情報が欲しいんです。」と訂正しても、出てくるのは南部の観光地の情報ばかり。
デリーでは現地で聞いたほうが良いと言われたのですが、結局ここでも情報を得ることができませんでした。困りましたねぇ。

ビハール出身のドライバーさんに期待

チャーターしていた車で、パトナ空港からネパール国境近くへと目指します。
英語が話せるドライバーさんを手配していたので、きっと目的地にはスムーズに着けるはず!
そう思っていたのですが、実際に空港で出迎えてくれたのは、「Hungry(お腹空いた)」や「Where(どこ)」すら通じない方。
話が違う!というのは、インドでよくある話です。笑
出身がビハールとのことでちょっと期待したのですが、北部はほとんど行ったことがないそう…。地名ももちろん知りません。

ムジャファルプールのホテルでさえも

ホテルのレセプションのPCを使うインド号田村

ホテルのレセプションのパソコンで刺繍について調べています

チェックインしたホテルのマネージャーが、唯一「知っている。ガイドしてあげる。」と刺繍を知っている人に出会えたことに喜んだインド号。
1時間後、地図を持ってフロントへ情報をもらいに行くと「刺繍?どういうものか写真見せて。」と、実は全く知らなかったそうで…。

インドで情報に翻弄されるのはよくあること。でも、ここまで地元の方ですら知らないなんてビックリです。

唯一の手がかりは、日本で見つけていた海外やインドのNGOが作成した資料。
その資料を、ホテルのスタッフや集まってきた宿泊客に見せて尋ねまくりましたが、何の情報も得られませんでした。

とりあえず村を探そう!

NGOの資料や、ネットで見つけた情報から、目的別に地名リストを作りました。
住所・地図・写真など、できる限り準備して、ドライバーさんに託しました!
万全の状態で望んだはずでしたが…。

刺繍の村の近くまで行くことはできました。
緑の多い、のどかなステキな地域です。
南に多いのかと思っていたバナナの木やココナッツの木がたくさん生えています。

ビハール州北部は、現在は国境でネパールと分断されていますが、昔は一つの王国だった場所。ブッダ、ジャイナ教の始祖、ラーマヤナのシータが、誕生したとても神聖な土地と考えられています。

ドライバーさんは、はじめて尋ねた人に「知らない」と答えられてしまうと、もう「そんな場所は存在しない!」と探すのをやめてしまうのです。
納得できないインド号は、何度も何度も色んな人に尋ねてもらうよう説得。
そうして少しずつ情報が得られるようになりました。

村に着くと「ものすごく閉鎖的な村だから、入るには特別な許可が必要!自分が事情を話してくるから、許可が取れるまで車から絶対に降りてはダメ!!」とドライバーさんが言います。
ドキドキしながら待っていたら、戻ってきて一言「施設は閉まっていた。この村で刺繍を見つけることは、もう不可能だ!」

えー、絶対にこの村から産み出されているのに諦めるの??
NGOの資料によると、村の多くの女性がこの刺繍に携わっているはずなのです。

その土地にいるのに、もう自分たちで確認せずには帰れません。
ドライバーさんに「自分たちで聞いてみたい」と伝えると、完全にヘソを曲げてしまいました。「やってみればいいじゃないか!!ここには何も無いんだから!!!」

やっとの想いで出会うことができました!

インド号が、一軒のお宅へ向かいました。インド号が外から声をかけていると「その家には誰もいない!!」とヒステリックに叫ぶドライバーさんの言葉とは裏腹に、一人の女性が出てきてくれました。
訝しんでいる様子でしたが、ヒンディー語であいさつして刺繍について尋ねてみました。
その間もドライバーさんは「ここには無いって言ってるだろ!何も無いんだから!」と背後からブツブツ言っています。

しばらくすると、お母さんが家の奥から大きなバッグを持ってきてくれました。
バッグの中には、求めていた刺繍がギッシリ!そのお母さんが作ったものでした。
あーうれしい!!やっぱり、あった!インド号の喜びはひとしおです。

バッグから続々と刺繍が出てくるところ

バッグから続々と刺繍が出てくるところ

刺繍で布の上に描かれるストーリー。暮らしに関わるもの、料理、木々の伐採、マーケット、学校、ダンス、牛、鳥、木々。

以前インドで作家さん自身から手に入れたこの刺繍を、日本で眺めながらどんな村で描かれたのだろうと想像していた世界。
いま、その村にいます。そして、その想像していた世界の中で、別のストーリーを紡いでいる人から話を聞いているのです。なんという幸せ。

夢中で見ていたら、知らないうちに村人がたくさん集まっていました。
言葉はあまり通じなくても、自然な笑顔に囲まれて楽しいひとときでした。
閉鎖的で怖い村では全然ありませんでしたよ。笑

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