タクツァン僧院でブータン国王に出会う

国王に会いたいなぁ・・と思ったブータン3日目

ブータンの女の子国王のバッジを付けている小学生の女の子。子どもも大人も国王が大好きなのです。

はじめてのブータン。到着して2日、ブータンの人たちとお話したり、町を歩いたりするだけで、「国王」という存在が、ブータン国民にとってすごく大きな存在であることを感じました。家族のようでもあり、すごく敬っている仏さまのような存在でもあり、とにかく「とても大切な方」。

「ブータンに滞在中、国王さまにお会いできたらいいなぁ」と思いはじめたところでした。

でも、望んだからといって、そんなに簡単に出会えるはずもありません。何日にどこにいるという情報は、公開されませんし、気軽にアポが取れるはずもないのです。

そんな簡単に望みが叶うはずもないので、3日目の朝、一応ガイドに「国王さまに会いたい」ということを伝えて、タクツァン僧院へ行くことに。

グルリンポチェの聖地、タクツァン僧院へ

タクツァン僧院パロのタクツァン僧院。別名 虎の巣(Tiger’s Nest)

タクツァン僧院Paro Taktsang Monasteryは、パロにあるとても信仰が厚いお寺です。岸壁に建てられている景色は大迫力で、ブータンの旅行ガイドなどでもよくメインの写真として使われます。

ここは、ブータンに仏教を伝えたというパドマ・サンバヴァ(グルリンポチェ)というお坊さまが、虎に乗って飛来したという伝説の場所です。別名、虎の巣Tiger’s Nest。グルリンポチェは、ゴータマ・ブッダLord Buddhaの生まれ変わりといわれていて、日本の役行者さまのような「超人」伝説が、ブータン各地にたくさん残っています。

タクツァン僧院は、博物館での模型にもお賽銭が投げられるほどの信仰ぶりです。

「虎に乗って飛来した」という伝説の通り、僧院はとても高い場所にあります。パロ空港の標高は約2600mですが、そこからさらに山を登って3120mのところ。それゆえ、高山病になってしまう観光客も少なくありません。

駐車場で朗報!??

お香をたく王室関係者国王をお迎えするために、
お香を焚く準備中

入山口にある駐車場に車を停めようとすると、ブータン政府の車が既に停まっていました。「もしかすると国王さまに、会えるかもしれませんよ。わかりませんけどね。」とガイド。

エッ!!

近くで火をおこしてたき火をしていた関係者と思われる人たちに話を聞いてみると、今日これから国王さまと王妃さまがタクツァン僧院にお参りに来られるのだそう。

エエエエッッッ!!!!!

いらっしゃるのが午後だったら会えないけれど、午前中ならもしかしたらすれ違えるかも。ということです。

奇跡!?なんて思ってしまいましたが、実際出会えるかどうかはわからないし、じっとそこで待っているわけにもいかないので、僧院へお参りするために山を登りはじめることに。

お参りは、2時間半の山登り

下から見上げるタクツァン僧院岸壁に小さくみえる白い建物がタクツァン僧院。案内役の犬がお出迎え

川を越えて、タクツァン僧院を目指します歩き始めてすぐに川が出てきます。
水がとってもキレイ

国王が歩かれる道をキレイにします国王が歩かれる道はキレイに!
ゴミに気づいたらすぐゴミ箱へ。

サンダルで山を登るブータン人の家族ブータンの人たちはサンダルで山をすいすい登っていきます

駐車場を出てすぐ、見上げると高くそびえる岩壁に僧院の姿は見えます。高さも距離も、「あんなところまで行くの?!」という感じでしょうか。僧院までは、だいたい2時間半くらい山道を登っていきます。

駐車場にいた犬が、途中までずっと同じスピードで歩きながら導いてくれてました。案内役みたいです。犬は野良犬ですが、馬ともすれ違います。歩くのが大変な方は馬に乗っていらっしゃることもあるそうです。

タクツァン僧院への山道からの景色少し登っただけで、見下ろすとこの景色!ブータンは本当に緑が多いです

第一展望台に到着!

タクツァン僧院の参道にある大きなマニ車大きなマニ車がみえたら、もうすぐ休憩所!

第一展望台の少し手前には、国王の関係者の方たちが、木を切ったり、パラソルを建てたりしながら、特別の休憩所を設営していました。いつもとはちがう空気のようです。

国王のために作られた休憩所木を刺して、王さまと王妃さまの休憩所の壁を作っています

タクツァン僧院第一展望台 休憩所第一展望台。トイレ休憩できます

第一展望台からタクツァン僧院僧院まであと少し!

タクツァン僧院へ行くインド号いくみのちに問題となる、わたしの服装

第一展望台からは、目の前にタクツァン僧院の姿が拝めます。かなり近づいてきました。

ここではトイレ休憩と、ミルクティ ンガジャをいただきながら写真撮影をしたり、ちょっと一息。

この日わたしは、たくさん歩くので歩きやすいように右のような格好をしていました。これがのちのち大変なことになります。

さて、僧院はあと少し。さらに登ります。

馬とすれ違います

ブータン国営放送のテレビクルーブータン国営放送のカメラマン

歩き始めてすぐに、ブータン国営放送のテレビクルーと出会いました。国王がいらっしゃるので、取材のために先に登っているのだそうです。

わたしが日本から来たことを伝えると、このカメラも日本からの寄付なんだと見せてくれました。JAICAのステッカーが貼られていました。レンズの右側の方に日本の国旗が見えるでしょうか?

第二展望台に着くころには、お寺の方からブォォーーというドゥンチェン(大笛)の音色が奏でられはじめました。これも、今日だけの特別。

国王さまがいらっしゃるのはお坊さんたちにとっても特別なことで、最上の歓迎を示すようです。

到着!・・・そして、問題発生

ブータン パロのタクツァン僧院

ようやく到着しました。タクツァン僧院は、ブータンのたくさんある寺院の中でもとても大切な聖地のひとつ。セキュリティもとても厳しいです。入り口のところにロッカーがあって、靴と貴重品以外の持ち物(もちろんカメラも)はそこに預けなければ、入場できません。

同じようにわたしも荷物を預けて門の前にいくと、ガードマンがわたしの服装に問題があると言ってきました。普段は大丈夫だけれど、今日に限っては国王がいらっしゃるので、お寺のセキュリティやドレスコードなどもとても厳しくなっているというのです。

この日のわたしの服装はご覧いただいた通り、上は七分袖のTシャツ、下はスパッツと膝下くらいのハーフパンツ。特に上着なども持っていません。

この「七分袖」と「ハーフパンツ」の中途半端な丈が大問題ということで、その服ではお寺に入れるわけにはいかないと言うのです。

ええー!!そんな!!

インドで買った大きめのストールがあったので、ひとまずそれを巻きスカートのようにして「これでどうですか?」と見せても、ダメ。
どう交渉しても、力強く「NO!」と返されてしまいます。

でも、ここまで来てお参りできないなんて、絶対イヤッ!

どうしよう、どうしよう・・・と困っていると、ガードマンとガイドが相談して、苦肉の策として提案されたのが、七分袖は裾を伸ばしつつ、ハーフパンツを脱いでスパッツのみになること。それならOKだ、ということに。

・・・仕方ありません。

まぁ・・・日本で流行っているスキニーパンツのように見えなくもないか(絶対に見えない)・・・。すごいスポーティーな人っていう設定なら、なしではないか・・・。などと自分を納得させて、ハーフパンツを脱ぐ決意をしました。

肩からストールをかけてできるだけ隠して、モジモジしながら参拝です。「変な格好をさせてすみません・・・」というガイドの言葉が、刺さります。
もう何も言わないで・・・。

一通り参拝が終わったころ、ちょうど国王さまが、パラソルを建てていた休憩所に到着したそうだという情報が入ってきました。タイミングを合わせるために、お坊さんたちとお話しながら次の情報を待ちます。

国王さまを迎えるためのルール

国王ご一行が歩き始められたという情報が入ったので、わたしたちも進むことに。国王さまとすれ違うことを楽しみにしながら、僧院に向かって一気に下ってきた階段を、少しずつのぼり始めます。すると、かなり手前のところで「ストップ」という指令が届きました。

歩いていた人たちはみんな止まり、道の端に寄って、ただ待ちます。

タクツァン僧院へ続く石段この長い階段の真ん中あたりの踊り場で待機します

国王さまにお会いするときにはルールがあります。

  • 顔をあげていてはだめ。深くお辞儀をするように頭を下げた状態で、国王が通り過ぎるのを待たなければなりません。
  • 袖を伸ばして口を隠しながら腰から前にかがむ前屈姿勢、もしくは、両手の平を外側にむけて地面にのばして前屈という姿勢で待機。
  • もちろんカメラを向けることは厳禁。
  • 国王さまから話しかけられた時にだけ、顔をあげていい。その場合はすぐに顔を上げること。

七分袖を着ていたわたしは、必死でその袖を伸ばしながらも、口を隠せるほど布がないので、両手を伸ばしながら前屈する姿勢をすることにしました。

国王が通られる前には、警護の人たちが何度も繰り返し先回りをして、おかしなことがないかを入念にチェックします。観光客については、ガイドに国籍や旅行の目的などを聞いてきます。ピリピリした空気で、まったくおふざけは許されません。

いよいよ国王さまとご対面!

タクツァン僧院を参拝するブータン国王と王妃さま王妃さまと仲良く手をつないで歩かれています

20分くらい経ってから、国王さまがいらっしゃいました。といっても、深く頭を下げているので、その姿を見ることはできません。

「どこまで来てるのかな?」なんとなくの気配で感じます。来た、来た~なんて思いながらうつむいていると、何かを話しかけられ、ガイドに背中を叩かれました。「ん?」と顔を上げてみると、目の前には国王さまが!

なんと、国王さまが話しかけてくださったのです。

「どこから来たのですか?」
「ブータンは初めてですか?」
「ブータンはいかがですか?」

など、英語でいくつか質問をしてくださり、お話をさせていただきました。横にはご結婚されたばかりの王妃さまもご一緒です。最後に、おふたりから手をとって握手してくださいました。

大きく温かい手で、その時32才のわたしとほぼ同い年で、この国と国民の「しあわせ」を守るために日々奮闘しているその力強さと大きさを感じました。

タクツァン僧院を参拝するブータン国王と王妃さま2左下の先頭を歩く、真っ赤な服が王妃さま。左にいるのが国王さまです

国王さまは「エライ人」というよりも「ステキな人」という感じで、ほんのわずかな時間でしたが、自分のヘンテコな格好を忘れるくらい、うれしいできごとでした。

ふーー、ドッキドキと感動でいっぱい。

もう十分。きっと今日はこれ以上の感動はないだろうな、と思い、まだお昼前だったけれど、すべての予定をキャンセルして、ホテルに直行することにしました。

感動、反省、決意したこと・・・。

もともと、わたしにとってブータンの目的地は、滞在する民家がある中央ブータン・ブムタンだったので、それ以外の場所は通過点としての「オマケ」くらいの感じでした。事前にブータンのガイドブックなども一切見ていなかったので、特に行きたい場所の希望は出さなかったのですが、驚きの忘れられないタクツァン僧院となりました!

ティンプーのホテルについてテレビを付けると、ブータン国営放送で、国王さまのお参りの様子が放映されていました。

ブータンBBS 国王のタクツァン僧院訪問1

ブータンBBS 国王のタクツァン僧院訪問2

ブータンBBS 国王のタクツァン僧院訪問3

ブータンBBS 国王のタクツァン僧院訪問3

感動いっぱいで、日本にいる家族とインド号の田村へ手紙を書きました。ポストカードに詳細は書けないので、ヘンテコな服装のお話はお土産として持って帰りました。

そしてこの日、ブータンにいる間の服として、民族衣装「キラ(巻きスカート)」と「テュゴ(上着)」を買おうと決意したのでした。

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